Javaでの遅延処理: コード解説

2024-08-19

Java での遅延処理について

Java でプログラムの実行を一時停止させる、つまり遅延させる方法には主に以下があります。

  • Thread.sleep() メソッドを使用する
  • wait() メソッドを使用する(注意が必要)

最も一般的な方法です。現在のスレッドを指定したミリ秒間停止させます。

import java.lang.Thread;

public class DelayExample {
    public static void main(String[] args) {
        try {
            Thread.sleep(1000); // 1秒間停止
        } catch (InterruptedException e) {
            e.printStackTrace();
        }
        System.out.println("遅延後実行");
    }
}
  • Thread.sleep() メソッドは InterruptedException をスローするため、例外処理が必要です。
  • 引数はミリ秒単位です。

java.util.concurrent.TimeUnit クラスの静的メソッドで、より読みやすいコードを書くことができます。

import java.util.concurrent.TimeUnit;

public class DelayExample {
    public static void main(String[] args) throws InterruptedException {
        TimeUnit.SECONDS.sleep(1); // 1秒間停止
        System.out.println("遅延後実行");
    }
}
  • TimeUnit クラスには、ミリ秒、秒、分、時間などの単位が定義されています。
  • 例外処理は明示的に宣言する必要があります。

wait() メソッド

Object クラスのメソッドで、スレッドを待機状態にします。通常、同期ブロック内で使用されます。

public class DelayExample {
    private Object lock = new Object();

    public void delay() {
        synchronized (lock) {
            try {
                lock.wait(1000); // 1秒間待機
            } catch (InterruptedException e) {
                e.printStackTrace();
            }
        }
    }
}
  • wait() メソッドは同期ブロック内で使用され、オブジェクトのロックを解放します。
  • スレッドは他のスレッドによって notify() または notifyAll() が呼ばれるまで待機します。
  • 誤った使い方をするとデッドロックの原因になる可能性があります。

注意点

  • Thread.sleep()TimeUnit.sleep() は現在のスレッドを停止させます。他のスレッドには影響しません。
  • wait() メソッドはオブジェクトのロックを解放するため、他のスレッドがオブジェクトにアクセスできるようになります。
  • 長時間の遅延が必要な場合は、タイマーやスレッドプールなどの他の方法も検討してください。

適切な方法の選択

  • 短時間の遅延で、スレッドの制御が必要な場合は Thread.sleep() または TimeUnit.sleep() を使用します。
  • オブジェクトの共有と同期が必要な場合は wait() を使用しますが、慎重に設計する必要があります。



Javaでの遅延処理: コード解説

import java.lang.Thread;

public class DelayExample {
    public static void main(String[] args) {
        try {
            Thread.sleep(1000); // 1秒間停止
        } catch (InterruptedException e) {
            e.printStackTrace();
        }
        System.out.println("遅延後実行");
    }
}
  • import java.lang.Thread;: Threadクラスをインポートします。
  • public class DelayExample: DelayExampleという名前のクラスを定義します。
  • public static void main(String[] args): プログラムのエントリーポイントであるmainメソッドを定義します。
  • try: tryブロックを開始します。
  • Thread.sleep(1000): 現在のスレッドを1000ミリ秒(1秒)間停止させます。
  • catch (InterruptedException e): InterruptedException例外が発生した場合の処理を行います。
  • e.printStackTrace(): 例外情報をコンソールに出力します。
  • System.out.println("遅延後実行"): 1秒後に「遅延後実行」と出力します。
import java.util.concurrent.TimeUnit;

public class DelayExample {
    public static void main(String[] args) throws InterruptedException {
        TimeUnit.SECONDS.sleep(1); // 1秒間停止
        System.out.println("遅延後実行");
    }
}
  • import java.util.concurrent.TimeUnit: TimeUnitクラスをインポートします。
  • throws InterruptedException: mainメソッドでInterruptedExceptionをスローすることを宣言します。
  • TimeUnit.SECONDS.sleep(1): TimeUnitクラスのSECONDSフィールドを使用して、1秒間スレッドを停止させます。
public class DelayExample {
    private Object lock = new Object();

    public void delay() {
        synchronized (lock) {
            try {
                lock.wait(1000); // 1秒間待機
            } catch (InterruptedException e) {
                e.printStackTrace();
            }
        }
    }
}
  • private Object lock = new Object(): 共有オブジェクトとしてlockを定義します。
  • public void delay(): delayメソッドを定義します。
  • synchronized (lock): lockオブジェクトに対して同期ブロックを開始します。
  • lock.wait(1000): 現在のスレッドをlockオブジェクト上で1秒間待機させます。



Javaにおける遅延処理の代替方法

これまで Thread.sleep()TimeUnit.sleep()wait() メソッドを中心にご紹介しましたが、これ以外にも遅延処理を実現する方法があります。

ScheduledExecutorService

  • 定期的なタスク実行に適しています。
  • scheduleAtFixedRate()scheduleWithFixedDelay() メソッドを使用します。
import java.util.concurrent.Executors;
import java.util.concurrent.ScheduledExecutorService;
import java.util.concurr   ent.TimeUnit;

public class DelayExample {
    public static void main(String[] args) {
        ScheduledExecutorServ   ice scheduler = Executors.newScheduledThreadPool(1);
        scheduler.scheduleAtFixedRat   e(() -> System.out.println("遅延後実行"), 1, 2, TimeUnit.SECONDS);
    }
}
  • scheduleAtFixedRate() は指定した時間間隔でタスクを繰り返し実行します。
  • scheduleWithFixedDelay() は前回のタスク終了から指定した時間後に次のタスクを実行します。

Timer

  • 単発の遅延タスクに適しています。
  • schedule() メソッドを使用します。
import java.util.Timer;
import java.util.TimerTask;

public class DelayExample {
    public static void main(String[] args) {
        Timer timer = new Timer();
        tim   er.schedule(new TimerTask() {
            @Override
            public void run() {
                System.out.prin   tln("遅延後実行");
            }
        }, 1000); // 1秒後に実行
    }
}

BlockingQueue

  • プロデューサー・コンシューマパターンで遅延を実現できます。
  • put() メソッドで要素を追加し、take() メソッドで取り出します。
import java.util.concurrent.BlockingQueue;
import java.util.concurrent.LinkedBlockingQueue;

public class DelayExample {
    public static void main(String[] args) throws InterruptedException {
        BlockingQueue<Object> queue = new LinkedBlockingQueue<>();
        new Thread(() -> {
            try {
                Thread.sleep(1000);
                queue.put(new Object());
            } catch (InterruptedException e) {
                e.printStackTrace();
            }
        }).start();
        queue.take();
        System.out.println("遅延後実行");
    }
}

独自のスリープ実装

  • 特殊な要件がある場合、独自のスリープ機能を実装できます。
  • System.nanoTime()System.currentTimeMillis() を使用して時間を計測します。

GUI フレームワークのタイマー

  • GUIアプリケーションでは、フレームワークが提供するタイマー機能を使用できます。
  • 例えば、Swingでは javax.swing.Timer が利用できます。

選択基準

  • 遅延の頻度とパターン: 定期的か単発か、固定間隔か可変間隔か。
  • 並行処理の必要性: マルチスレッド環境での使用か。
  • 精度の要求: 厳密なタイミングが必要か。
  • リソース消費: スレッドの利用やメモリ消費を考慮する。
  • Thread.sleep()TimeUnit.sleep() はスレッドをブロックするため、過度な使用はパフォーマンスに影響を与える可能性があります。
  • wait() メソッドは同期ブロック内で使用され、誤った使用はデッドロックを引き起こす可能性があります。
  • ScheduledExecutorServiceやTimerは、タスクのスケジューリングに便利ですが、複雑な処理には適さない場合があります。

java wait sleep



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