RのデータフレームからNA(欠損値)を含む行を削除する
Rのデータフレームにおいて、NA(欠損値)を含む行を削除する方法はいくつかあります。この処理は、データのクレンジングや分析の前処理として重要です。
NAとは
NAは「Not Available」の略で、データが欠損していることを表します。データフレーム内の数値や文字列の代わりに含まれることがあります。
データフレームとは
データフレームは、Rにおけるデータ構造の一つで、表形式のデータを表します。行と列からなり、各列には同じデータ型(数値、文字列など)のデータが入ります。
filter関数
filter()
関数は、dplyrパッケージの関数で、データフレームから条件を満たす行を抽出します。NAに関する条件を指定することで、NAを含む行を削除できます。
処理方法
全ての列にNAがある行を削除
library(dplyr)
df <- data.frame(
col1 = c(1, NA, 3),
col2 = c(NA, 5, NA),
col3 = c(7, NA, 9)
)
# 全ての列にNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
filter(!if_all(everything(), is.na))
一つでもNAがある行を削除
# 一つでもNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
filter(!if_any(everything(), is.na))
または
df_filtered <- na.omit(df)
説明
library(dplyr)
: dplyrパッケージを読み込みます。data.frame()
: サンプルデータフレームを作成します。filter()
関数: 条件に基づいてデータフレームから行を抽出します。if_all()
関数: 全ての列に対して条件が真であるかどうかをチェックします。is.na()
関数: NAかどうかをチェックします。!
: 論理演算子で、否定を表します。na.omit()
関数: データフレームからNAを含む行を削除します。
注意点
filter()
関数はdplyrパッケージを使用するため、事前にインストールする必要があります。- NAの扱いはデータの性質や分析目的に応じて適切に選択する必要があります。
- NAの代わりに他の値(例えば0)を使用する場合は、データの解釈に注意が必要です。
コードの説明
library(dplyr)
df <- data.frame(
col1 = c(1, NA, 3),
col2 = c(NA, 5, NA),
col3 = c(7, NA, 9)
)
# 全ての列にNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
filter(!if_all(everything(), is.na))
- library(dplyr): dplyrパッケージを読み込みます。このパッケージにはデータ操作のための便利な関数群が含まれています。
- df <- data.frame(...): サンプルデータフレームを作成します。
col1
、col2
、col3
の3つの列があり、一部のセルにNAが含まれています。 - df_filtered <- df %>% filter(!if_all(everything(), is.na)):
df_filtered <-
: 新しいデータフレームdf_filtered
を作成します。df %>%
:df
データフレームに対してパイプ演算子を使って処理を繋げます。filter()
: データフレームから条件を満たす行を抽出する関数です。!if_all(everything(), is.na)
: 条件の部分です。if_all()
: データフレームの全ての列に対して条件をチェックします。everything()
: 全ての列を指定します。!
: 論理演算子の否定なので、全ての列にNAがない行を抽出します。
# 一つでもNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
filter(!if_any(everything(), is.na))
df_filtered <- na.omit(df)
- df_filtered <- df %>% filter(!if_any(everything(), is.na)):
- 処理の流れは前のコードと同様ですが、条件が異なります。
- したがって、一つでもNAがある行は除外されます。
- df_filtered <- na.omit(df):
na.omit()
関数を使用すると、より簡潔にNAを含む行を削除できます。
RでのNAを含む行の削除:代替方法
これまで、dplyrパッケージのfilter()
関数とif_all()
、if_any()
関数、またはna.omit()
関数を使ったNAを含む行の削除方法を見てきました。他にもいくつかの方法があります。
代替方法
complete()関数 (tidyrパッケージ)
tidyr
パッケージのcomplete()
関数は、欠損値を補完する関数ですが、引数fill
にlist(c())
を指定することで、NAを含む行を削除することができます。
library(tidyr)
df_filtered <- df %>%
complete(nesting(col1, col2, col3), fill = list(c()))
インデックスを用いた削除
NAを含む行のインデックスを取得し、そのインデックスを使って元のデータフレームから行を削除することができます。
# NAを含む行のインデックスを取得
index_na <- which(rowSums(is.na(df)) > 0)
# インデックスを使って行を削除
df_filtered <- df[-index_na, ]
subset()関数
ベースRのsubset()
関数を使って、条件を指定してデータフレームを部分集合化することができます。
df_filtered <- subset(df, !is.na(col1) & !is.na(col2) & !is.na(col3))
どの方法を選ぶか
どの方法を選ぶかは、データのサイズ、処理速度、コードの可読性、個人の好みによって異なります。
- dplyrの
filter()
関数: 可読性が高く、パイプライン処理に適しています。 - tidyrの
complete()
関数: データの整形や補完にも使える汎用的な関数です。 - インデックスを用いた削除: 直接的な方法ですが、コードがやや複雑になる場合があります。
subset()
関数: ベースRの関数で、シンプルですが、dplyrのfilter()
関数の方が柔軟性があります。
- 一部の方法では、全ての列をチェックしているため、データセットが大きい場合、処理時間がかかる可能性があります。
r dataframe filter