RのデータフレームからNA(欠損値)を含む行を削除する

2024-08-19

Rのデータフレームにおいて、NA(欠損値)を含む行を削除する方法はいくつかあります。この処理は、データのクレンジングや分析の前処理として重要です。

NAとは

NAは「Not Available」の略で、データが欠損していることを表します。データフレーム内の数値や文字列の代わりに含まれることがあります。

データフレームとは

データフレームは、Rにおけるデータ構造の一つで、表形式のデータを表します。行と列からなり、各列には同じデータ型(数値、文字列など)のデータが入ります。

filter関数

filter()関数は、dplyrパッケージの関数で、データフレームから条件を満たす行を抽出します。NAに関する条件を指定することで、NAを含む行を削除できます。

処理方法

全ての列にNAがある行を削除

library(dplyr)

df <- data.frame(
  col1 = c(1, NA, 3),
  col2 = c(NA, 5, NA),
  col3 = c(7, NA, 9)
)

# 全ての列にNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
  filter(!if_all(everything(), is.na))

一つでもNAがある行を削除

# 一つでもNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
  filter(!if_any(everything(), is.na))

または

df_filtered <- na.omit(df)

説明

  • library(dplyr): dplyrパッケージを読み込みます。
  • data.frame(): サンプルデータフレームを作成します。
  • filter()関数: 条件に基づいてデータフレームから行を抽出します。
  • if_all()関数: 全ての列に対して条件が真であるかどうかをチェックします。
  • is.na()関数: NAかどうかをチェックします。
  • !: 論理演算子で、否定を表します。
  • na.omit()関数: データフレームからNAを含む行を削除します。

注意点

  • filter()関数はdplyrパッケージを使用するため、事前にインストールする必要があります。
  • NAの扱いはデータの性質や分析目的に応じて適切に選択する必要があります。
  • NAの代わりに他の値(例えば0)を使用する場合は、データの解釈に注意が必要です。



コードの説明

library(dplyr)

df <- data.frame(
  col1 = c(1, NA, 3),
  col2 = c(NA, 5, NA),
  col3 = c(7, NA, 9)
)

# 全ての列にNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
  filter(!if_all(everything(), is.na))
  • library(dplyr): dplyrパッケージを読み込みます。このパッケージにはデータ操作のための便利な関数群が含まれています。
  • df <- data.frame(...): サンプルデータフレームを作成します。col1col2col3の3つの列があり、一部のセルにNAが含まれています。
  • df_filtered <- df %>% filter(!if_all(everything(), is.na)):
    • df_filtered <-: 新しいデータフレームdf_filteredを作成します。
    • df %>%: dfデータフレームに対してパイプ演算子を使って処理を繋げます。
    • filter(): データフレームから条件を満たす行を抽出する関数です。
    • !if_all(everything(), is.na): 条件の部分です。
      • if_all(): データフレームの全ての列に対して条件をチェックします。
      • everything(): 全ての列を指定します。
      • !: 論理演算子の否定なので、全ての列にNAがない行を抽出します。
# 一つでもNAがある行を削除
df_filtered <- df %>%
  filter(!if_any(everything(), is.na))
df_filtered <- na.omit(df)
  • df_filtered <- df %>% filter(!if_any(everything(), is.na)):
    • 処理の流れは前のコードと同様ですが、条件が異なります。
    • したがって、一つでもNAがある行は除外されます。
  • df_filtered <- na.omit(df):
    • na.omit()関数を使用すると、より簡潔にNAを含む行を削除できます。



RでのNAを含む行の削除:代替方法

これまで、dplyrパッケージのfilter()関数とif_all()if_any()関数、またはna.omit()関数を使ったNAを含む行の削除方法を見てきました。他にもいくつかの方法があります。

代替方法

complete()関数 (tidyrパッケージ)

tidyrパッケージのcomplete()関数は、欠損値を補完する関数ですが、引数filllist(c())を指定することで、NAを含む行を削除することができます。

library(tidyr)

df_filtered <- df %>%
  complete(nesting(col1, col2, col3), fill = list(c()))

インデックスを用いた削除

NAを含む行のインデックスを取得し、そのインデックスを使って元のデータフレームから行を削除することができます。

# NAを含む行のインデックスを取得
index_na <- which(rowSums(is.na(df)) > 0)

# インデックスを使って行を削除
df_filtered <- df[-index_na, ]

subset()関数

ベースRのsubset()関数を使って、条件を指定してデータフレームを部分集合化することができます。

df_filtered <- subset(df, !is.na(col1) & !is.na(col2) & !is.na(col3))

どの方法を選ぶか

どの方法を選ぶかは、データのサイズ、処理速度、コードの可読性、個人の好みによって異なります。

  • dplyrのfilter()関数: 可読性が高く、パイプライン処理に適しています。
  • tidyrのcomplete()関数: データの整形や補完にも使える汎用的な関数です。
  • インデックスを用いた削除: 直接的な方法ですが、コードがやや複雑になる場合があります。
  • subset()関数: ベースRの関数で、シンプルですが、dplyrのfilter()関数の方が柔軟性があります。
  • 一部の方法では、全ての列をチェックしているため、データセットが大きい場合、処理時間がかかる可能性があります。

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