iOS でのビューコントローラー間でのデータの渡し方 (日本語)

2024-09-14

iOS アプリ開発において、複数のビューコントローラー間でデータをやり取りする場面は頻繁に発生します。Objective-C や Swift を使用する場合、以下のような方法が一般的です。

Segue を利用する

  • Prepare for segue: 出発するビューコントローラーで、segue がトリガーされる前に、渡したいデータを次のビューコントローラーに設定します。
  • Segue destination: 到着するビューコントローラーで、受け取ったデータを適切に使用します。
// 出発するビューコントローラー (ViewController.swift)
override func prepare(for segue: UIStoryboardSegue, sender: Any?) {
    if segue.identifier == "showDetail" {
        let destinationVC = segue.destination as! DetailViewController
           destinationVC.dataToPass = myData
    }
}

// 到着するビューコントローラー (DetailViewController.swift)
var dataToPass: Any?

override func viewDidLoad() {
    super.viewDidLoad()
    
    if let data = dataToPass {
        // 受け取ったデータを処理する
    }
}

Delegate パターン

  • Delegate プロトコル: データを渡したいビューコントローラーが、データを受け取るビューコントローラーに通知するためのプロトコルを定義します。
  • Delegate プロパティ: データを受け取るビューコントローラーは、このプロトコルに準拠するデリゲートプロパティを持ちます。
  • デリゲートメソッド: データを渡したいビューコントローラーが、適切なタイミングでデリゲートメソッドを呼び出し、データを渡します。
// 出発するビューコントローラー (ViewController.swift)
protocol DataPassingDelegate {
    func didPassData(_ data: Any)
}

class ViewController: UIViewController {
    var delegate: DataPassingDelegate?
    
    func passData(data: Any) {
        delegate?.didPassData(data)
    }
}

// 到着するビューコントローラー (DetailViewController.swift)
class DetailViewController: UIViewController, DataPassingDelegate {
    func didPassData(_ data: Any) {
        // 受け取ったデータを処理する
    }
}

Notification Center

  • NSNotificationCenter: アプリ全体で通知を配信するための仕組みです。
  • 通知の登録: データを渡したいビューコントローラーが、特定の通知に登録します。
  • 通知の送信: データを渡したいビューコントローラーが、適切なタイミングで通知を送信します。
  • 通知の受信: データを受け取るビューコントローラーが、通知を受け取ってデータを処理します。
// 出発するビューコントローラー (ViewController.swift)
NotificationCenter.default.post(name: NSNotification.Name("dataPassed"), object: myData)

// 到着するビューコントローラー (DetailViewController.swift)
NotificationCenter.default.addObserver(self, selector: #selector(dataReceived(_:)), name: NSNotification.Name("dataPassed"), object: nil)

@objc func dataReceived(_ notification: Notification) {
    if let data = notification.object as? Any {
        // 受け取ったデータを処理する
    }
}



iOS ビュー間データ共有方法のコード例解説

Segue を利用したデータの渡し方

Segue は、あるビューコントローラーから別のビューコントローラーへ遷移する際に、両者の間の関係を定義するものです。この関係を利用して、データを渡すことができます。

出発側のビューコントローラー (ViewController.swift)

override func prepare(for segue: UIStoryboardSegue, sender: Any?) {
    if segue.identifier == "showDetail" {
        let destinationVC = segue.destination as! DetailViewController
           destinationVC.dataToPass = myData
    }
}
  • prepare(for:sender:): Segue が実行される直前に呼ばれるメソッドです。
  • segue.identifier: Segue を識別するための文字列です。
  • segue.destination: 遷移先のビューコントローラーを取得します。
  • dataToPass: 遷移先に渡したいデータを、遷移先のビューコントローラーのプロパティに設定します。
var dataToPass: Any?

override func viewDidLoad() {
    super.viewDidLoad()
    
    if let data = dataToPass {
        // 受け取ったデータを処理する
    }
}
  • dataToPass: 出発側から渡されたデータを格納するプロパティです。
  • viewDidLoad: ビューがロードされたときに呼ばれるメソッドです。ここで、渡されたデータを取り出して処理します。

Delegate パターンを利用したデータの渡し方

Delegate パターン は、あるオブジェクト(デリゲート元)が、あるイベントが発生した際に、別のオブジェクト(デリゲート先)にそのことを通知し、処理を委譲するパターンです。

protocol DataPassingDelegate {
    func didPassData(_ data: Any)
}

class ViewController: UIViewController {
    var delegate: DataPassingDelegate?
    
    func passData(data: Any) {
        delegate?.didPassData(data)
    }
}
  • DataPassingDelegate: データを渡すためのプロトコルを定義します。
  • didPassData(_:): データを渡す際に呼ばれるメソッドです。
  • delegate: デリゲート先となるオブジェクトへの参照を保持します。
class DetailViewController: UIViewController, DataPassingDelegate {
    func didPassData(_ data: Any) {
        // 受け取ったデータを処理する
    }
}
  • DataPassingDelegate: ViewController で定義されたプロトコルに準拠します。
  • didPassData(_:): デリゲートメソッドを実装し、渡されたデータを処理します。

Notification Center を利用したデータの渡し方

Notification Center は、アプリ内の任意のオブジェクトが、他のオブジェクトに通知を送ることができる仕組みです。

NotificationCenter.default.post(name: NSNotification.Name("dataPassed"), object: myData)
  • NSNotificationCenter.default: 通知センターのシングルトンインスタンスを取得します。
  • post(name:object:): 通知を送信します。
NotificationCenter.default.addObserver(self, selector: #selector(dataReceived(_:)), name: NSNotification.Name("dataPassed"), object: nil)

@objc func dataReceived(_ notification: Notification) {
    if let data = notification.object as? Any {
        // 受け取ったデータを処理する
    }
}
  • addObserver: 特定の通知を受け取るためのオブザーバーを登録します。
  • dataReceived(_:): 通知を受け取った際に呼ばれるメソッドです。
  • Segue: 画面遷移と同時にデータを渡すシンプルな方法です。
  • Delegate: より柔軟なデータのやり取りを実現できます。
  • Notification Center: アプリ全体でデータを共有したい場合に便利です。

どの方法を選ぶべきか は、アプリの構造やデータの渡し方によって異なります。それぞれのメリット・デメリットを考慮して、適切な方法を選択しましょう。

  • Property List, UserDefaults, Core Data: これらは、データを永続化するための方法であり、複数のビューコントローラー間でデータを共有する際に利用できます。
  • SwiftUI: SwiftUI では、環境オブジェクトや状態管理など、よりモダンなデータ共有の方法が提供されています。
  • 特定のコードの解説
  • 他のデータ共有方法
  • SwiftUI でのデータ共有
  • 各方法のメリット・デメリット
  • 具体的なユースケース



iOS ビュー間データ共有の代替方法

先ほどは、Segue、Delegate、Notification Centerという一般的な方法について解説しました。今回は、それ以外の方法や、より高度なテクニックについて深掘りしていきます。

UserDefaults

  • シンプルなキーバリューストア: 小さなデータを永続的に保存するのに適しています。
  • アプリ全体で共有: アプリ内のどのビューコントローラーからもアクセスできます。
  • 注意: データの型が制限されており、複雑なデータ構造には不向きです。
UserDefaults.standard.set("Hello", forKey: "greeting")

Core Data

  • 構造化されたデータの保存: 複雑なデータモデルを構築し、永続化できます。
  • 検索、ソート、関係: 豊富な機能でデータの管理が可能です。
  • 学習コスト: 比較的高く、導入に時間がかかる場合があります。

Property List

  • XML形式: 設定ファイルなど、シンプルなデータ構造を保存するのに適しています。
  • カスタムクラスの保存: NSKeyedArchiver を使用することで、カスタムクラスのインスタンスも保存できます。

Environment Object (SwiftUI)

  • SwiftUI における強力な状態管理ツールです。
  • ビュー階層全体で共有: 親ビューから子ビューへ、データが自動的に渡されます。

State Object (SwiftUI)

  • 特定のビューの状態管理: 特定のビューのみに関連する状態を管理します。
  • ObservableObject と組み合わせることで、ビューの更新をトリガーできます。

Singleton パターン

  • 共通のデータへのアクセス: アプリ全体で唯一のインスタンスを作成し、共有データを持つことができます。
  • 乱用注意: Singleton パターンは乱用すると、コードの複雑化やテストの困難につながる可能性があります。

Dependency Injection

  • クラス間の依存関係を管理: コンストラクターインジェクションやプロパティインジェクションなど、様々な手法があります。
  • テストしやすいコード: 結合度が低くなり、テストが容易になります。

Combine

  • リアクティブプログラミング: データの流れを表現し、複雑な状態管理を簡潔に記述できます。
  • Publisher, Subscriber: データの発信元と受信元を定義し、データの更新を監視できます。

どの方法を選ぶべきか?

  • データの規模と複雑さ: 小さなデータなら UserDefaults、複雑なデータなら Core Data
  • データのライフサイクル: アプリ全体で共有するなら Singleton、特定のビューで使うなら State Object
  • パフォーマンス: 頻繁にアクセスするデータならメモリ効率の良い方法を選ぶ
  • チームのスキル: Core Data や Combine は学習コストが高いので、チームのスキルレベルも考慮する

iOS でのビュー間データ共有には、様々な方法があります。それぞれの方法に特徴やメリット・デメリットがあるため、アプリの要件に合わせて適切な方法を選択することが重要です。

  • 特定の方法について詳しく知りたい
  • 複数の方法を組み合わせたい

ios objective-c swift



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