C++における基底クラスコンストラクタの呼び出し規則の代替方法

2024-08-26

C++における基底クラスコンストラクタの呼び出し規則について

C++において、派生クラスのコンストラクタは、その基底クラスのコンストラクタを必ず呼び出さなければなりません。これは、基底クラスの初期化が派生クラスの初期化に先立つ必要があるためです。

呼び出し方法

  1. 明示的な呼び出し:

    class Derived : public Base {
    public:
        Derived() : Base(initial_value) {
            // 派生クラスの初期化
        }
    };
    

    この場合、Base(initial_value)の部分が、基底クラスのコンストラクタを明示的に呼び出しています。

  2. 暗黙的な呼び出し: 基底クラスのコンストラクタが引数を持たない場合、派生クラスのコンストラクタが引数を持たないときには、暗黙的に呼び出されます。

    class Base {
    public:
        Base() { }
    };
    
    class Derived : public Base {
    public:
        Derived() {
            // 派生クラスの初期化
        }
    };
    

重要ポイント

  • 順序: 基底クラスのコンストラクタが呼び出された後、派生クラスのコンストラクタが呼び出されます。
  • 引数: 基底クラスのコンストラクタに引数を渡す必要がある場合は、派生クラスのコンストラクタの初期化リストで明示的に指定しなければなりません。
  • 初期化リスト: 派生クラスのコンストラクタの初期化リストで基底クラスのコンストラクタを呼び出す場合、メンバーの初期化の前に呼び出されます。



例1: 明示的な呼び出し

#include <iostream>

class Base {
public:
    Base(int value) : data(value) {
        std::cout << "Base constructor called: " << data << std::endl;
    }

private:
    int data;
};

class Derived : public Base {
public:
    Derived(int value) : Base(value * 2) {
        std::cout << "Derived constructor called: " << data << std::endl;
    }

private:
    int data;
};

int main() {
    Derived obj(5);
    return 0;
}

この例では、派生クラス Derived のコンストラクタが、基底クラス Base のコンストラクタを明示的に呼び出しています。基底クラスのコンストラクタは、引数として value * 2 を受け取り、data メンバーを初期化します。その後、派生クラスのコンストラクタが呼び出され、data メンバーを初期化します。

#include <iostream>

class Base {
public:
    Base() {
        std::cout << "Base constructor called" << std::endl;
    }
};

class Derived : public Base {
public:
    Derived() {
        std::cout << "Derived constructor called" << std::endl;
    }
};

int main() {
    Derived obj;
    return 0;
}

この例では、基底クラス Base のコンストラクタが引数を持たないため、派生クラス Derived のコンストラクタが引数を持たない場合、暗黙的に呼び出されます。そのため、派生クラスのコンストラクタが呼ばれる前に、基底クラスのコンストラクタが自動的に呼び出されます。




デフォルトコンストラクタの利用

  • 基底クラスにデフォルトコンストラクタ(引数を持たないコンストラクタ)が定義されている場合、派生クラスのコンストラクタで明示的に呼び出さなくても暗黙的に呼び出されます。
class Base {
public:
    Base() { /* ... */ }
};

class Derived : public Base {
public:
    Derived() { /* ... */ }
};

初期化リストでの呼び出し

class Base {
public:
    Base(int value) : data(value) { /* ... */ }

private:
    int data;
};

class Derived : public Base {
public:
    Derived(int value) : Base(value), data(value * 2) { /* ... */ }

private:
    int data;
};

継承の順序

  • 多重継承の場合、基底クラスのコンストラクタの呼び出し順序は、継承の順序によって決まります。
class A { /* ... */ };
class B { /* ... */ };

class C : public A, public B { /* ... */ };

この場合、C のコンストラクタはまず A のコンストラクタを呼び出し、次に B のコンストラクタを呼び出します。

仮想継承

  • 多重継承で共通の基底クラスが複数回出現する場合、仮想継承を使用することで、基底クラスのコンストラクタが重複して呼び出されるのを防ぐことができます。
class Base { /* ... */ };

class A : public virtual Base { /* ... */ };
class B : public virtual Base { /* ... */ };

class C : public A, public B { /* ... */ };

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