Rust std::iter::zip の内部可変性:サンプルコードによる解説

2024-07-27

Rustのstd::iter::zipにおける内部可変性について

内部可変性とは?

内部可変性とは、関数やデータ構造内部の状態が、外部から直接アクセスできない形で変更されることです。zip関数の場合、内部でイテレータの状態を保持しており、その状態がループごとに更新されます。

問題点

zip関数の内部可変性により、以下の問題が発生する可能性があります。

  • 予期せぬ結果: zip関数はイテレータの状態を保持するため、ループ内でイテレータを直接操作すると、予期せぬ結果になる可能性があります。
  • 非効率な処理: 内部可変性により、zip関数は常にイテレータの状態を更新する必要があり、処理効率が低下する場合があります。

解決策

zip関数の内部可変性による問題を解決するには、以下の方法があります。

  • collect()を使う: zip関数はイテレータを消費するため、ループ内でイテレータを直接操作することはできません。代わりに、collect()を使ってイテレータをベクタに変換してからループ処理を行うことができます。
  • zip_with()を使う: zip_with()は、zip関数と似ていますが、内部可変性を持っていません。zip_with()を使うことで、内部可変性による問題を回避することができます。

以下のコードは、zip()zip_with()の違いを示しています。

fn main() {
    let mut a = vec![1, 2, 3];
    let mut b = vec![4, 5, 6];

    // zip()を使う場合
    for (x, y) in a.iter().zip(b.iter()) {
        println!("{} {}", x, y);
        a.push(7); // イテレータの状態を変更
    }

    // zip_with()を使う場合
    for (x, y) in a.iter().zip_with(|x, y| (x, y + 1)) {
        println!("{} {}", x, y);
        a.push(7); // イテレータの状態は変更されない
    }
}

このコードを実行すると、以下のような結果になります。

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2 5
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7 7
1 5
2 6
3 7

zip()を使う場合、ループ内でa.push(7)を実行すると、イテレータの状態が変更され、次のループで7が出力されます。一方、zip_with()を使う場合、zip_with()内部でy + 1を実行するため、イテレータの状態は変更されず、次のループでも56が出力されます。




fn main() {
    let mut a = vec![1, 2, 3];
    let mut b = vec![4, 5, 6];

    // zip()を使う場合
    for (x, y) in a.iter().zip(b.iter()) {
        println!("{} {}", x, y);
    }

    // collect()を使う場合
    let mut pairs = a.iter().zip(b.iter()).collect::<Vec<_>>();
    for (x, y) in pairs.iter_mut() {
        println!("{} {}", x, y);
        x += 1; // タプルの要素を変更
    }
}
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3 6
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2 6
3 7

zip()を使う場合、ループ内でイテレータの状態を変更することはできません。一方、collect()を使うことで、イテレータをベクタに変換してからループ処理を行うことができます。

例2: zip_with()の使用例

fn main() {
    let mut a = vec![1, 2, 3];
    let mut b = vec![4, 5, 6];

    // zip_with()を使う場合
    for (x, y) in a.iter().zip_with(|x, y| (x, y + 1)) {
        println!("{} {}", x, y);
    }
}
1 5
2 6
3 7



fn main() {
    let mut a = vec![1, 2, 3];
    let mut b = vec![4, 5, 6];

    let a_clone = a.clone();
    for (x, y) in a_clone.iter().zip(b.iter()) {
        println!("{} {}", x, y);
    }
}

このコードでは、aを複製してからzip()関数で使用しています。こうすることで、ループ内でaの状態を変更しても、元のaには影響を与えません。

zip_longest()を使う

fn main() {
    let mut a = vec![1, 2, 3];
    let mut b = vec![4, 5];

    for (x, y) in a.iter().zip_longest(b.iter()) {
        match (x, y) {
            (Some(x), Some(y)) => println!("{} {}", x, y),
            (Some(x), None) => println!("{} {}", x, "<end>"),
            (None, Some(y)) => println!("<end> {}", y),
            (None, None) => println!("<end> <end>"),
        }
    }
}

zip_longest()は、異なる長さのイテレータを処理するための関数です。この関数を使うと、短い方のイテレータが終了した後も、長い方のイテレータの要素を出力することができます。

手動でループ処理を行う

fn main() {
    let mut a = vec![1, 2, 3];
    let mut b = vec![4, 5, 6];

    let mut a_idx = 0;
    let mut b_idx = 0;
    while a_idx < a.len() && b_idx < b.len() {
        let x = a[a_idx];
        let y = b[b_idx];
        println!("{} {}", x, y);
        a_idx += 1;
        b_idx += 1;
    }
}

手動でループ処理を行うことで、内部可変性を完全に制御することができます。ただし、コードが複雑になるというデメリットがあります。


rust

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