CUDA バージョン確認の代替方法とプログラミングでの活用

2024-08-18

CUDA バージョンの確認方法

CUDA とは

CUDA (Compute Unified Device Architecture) は、NVIDIA の GPU を並列コンピューティング用に活用するためのプラットフォームです。 CUDA プログラミングを行うためには、適切な CUDA バージョンを確認することが重要です。

方法 1: nvcc コマンドを使用する

  1. nvcc --version コマンドを実行します。

    nvcc --version
    

    これにより、インストールされている CUDA Toolkit のバージョンが表示されます。

方法 2: CUDA ライブラリファイルを確認する

  1. CUDA Toolkit のインストールディレクトリに移動します。 通常、これは /usr/local/cuda または C:\Program Files\NVIDIA GPU Computing Toolkit のようなパスです。
  2. include ディレクトリ内の cuda_runtime.h ファイルを開きます。
  3. ファイルの先頭付近に CUDA バージョンに関する情報が記載されています。

方法 3: 環境変数を調べる

  1. システムの環境変数を確認します。 方法については、オペレーティングシステムによって異なります。
  2. CUDA_VERSION という環境変数が設定されている場合、その値が CUDA バージョンを示します。

注意点

  • CUDA Toolkit のインストール状況や環境設定によって、確認方法が異なる場合があります。
  • 正確な CUDA バージョンを確認するためには、方法 1 の nvcc --version コマンドが最も信頼できます。

例:

$ nvcc --version
nvcc: NVIDIA (R) Cuda compiler driver Copyright (c) 2005-2023 NVIDIA Corporation
Built on Mon_Oct_16_20:15:19 PDT 2023
Cuda compilation tools, release 12.2, V12.2.152

この例では、CUDA Toolkit のバージョンが 12.2 であることがわかります。

  • CUDA プログラムのコンパイルや実行には、適切な CUDA ドライバーも必要です。 ドライバーのバージョンは、NVIDIA のコントロールパネルやデバイスマネージャーから確認できます。
  • CUDA プログラミングを行う際には、使用するライブラリやツールキットのバージョンとの互換性にも注意が必要です。



CUDA バージョン確認のコード例と解説

なぜコード例が必要なのか?

コマンドラインでの確認方法は一般的ですが、プログラミングの中で動的にCUDAバージョンを取得したいケースもあります。例えば、

  • 異なるCUDAバージョンに対応したコードを分岐させる
  • CUDAバージョンに基づいて計算方法を変更する
  • ログにCUDAバージョンを記録する

といった状況が考えられます。

コード例と解説

C/C++ (CUDA C)

#include <cuda_runtime.h>
#include <stdio.h>

int main() {
    int deviceCount;
    cudaGetDeviceCount(&deviceCount);

    for (int i = 0; i < deviceCount; i++) {
        cudaDevice   Prop prop;
        cudaGetDeviceProperties(&prop, i);

        printf("Dev   ice %d: %s\n", i, prop.name);
        printf("  CUDA Capability Major.%d Minor.%d\n", prop.major, prop.minor);
    }

    return 0;
}

解説:

  1. cudaGetDeviceCount: システム上のCUDA対応デバイス数を取得します。
  2. cudaDeviceProp: デバイスのプロパティ構造体です。
  3. cudaGetDeviceProperties: 指定したデバイスのプロパティを取得します。
  4. prop.majorprop.minor: CUDA Compute Capability (計算能力) のメジャーバージョンとマイナーバージョンを表します。この情報は、CUDAアーキテクチャの世代を示し、利用可能な機能や性能に影響を与えます。

Python (PyTorch)

import torch

if torch.cuda.is_available():
    print(torch.version.cuda)
else:
    print("CUDA is not available")
  • torch.cuda.is_available(): CUDAが利用可能かどうかをチェックします。
  • torch.version.cuda: 利用可能な場合、インストールされているCUDAのバージョンを出力します。
  • 他の言語: CUDA C++の仕組みを理解していれば、他の言語(例えば、C#、Java)でも同様の機能を提供するライブラリやAPIを利用してCUDAバージョンを取得できます。
  • CUDA Toolkitのバージョン: cudaGetDeviceProperties で取得されるのは、デバイスのCompute Capabilityであり、必ずしもCUDA Toolkitのバージョンと一致しません。
  • 精度: CUDA Toolkitのバージョンを正確に取得したい場合は、nvcc --version コマンドの結果を解析するなどの方法も考えられます。
  • プラットフォーム依存性: コードの記述方法は、利用するプラットフォーム(Windows, Linux, macOS)やCUDA Toolkitのバージョンによって多少異なる場合があります。

コード例を通して、プログラミングの中でCUDAバージョンを取得する方法を解説しました。この情報を活用することで、より柔軟なCUDAプログラミングが可能になります。

  • 上記のコード例は、基本的な例であり、実際の開発では、エラー処理やより詳細な情報取得など、様々な拡張が考えられます。
  • CUDAプログラミングは、GPUの特性を理解し、効率的な並列処理を行うことが重要です。



CUDA バージョン確認の代替方法とプログラミングでの活用

コマンドライン以外の方法

これまで、nvcc --version コマンドや CUDA ランタイム API を用いたプログラミングによる CUDA バージョンの確認方法について解説してきました。しかし、これ以外にも様々な方法で CUDA バージョンを確認することができます。

NVIDIA-SMI (System Management Interface) を利用する

  • 特徴: NVIDIA製のGPUの情報を表示するツールです。CUDAバージョンだけでなく、GPUの利用状況、温度など、詳細な情報を取得できます。
  • 使用方法:
    nvidia-smi
    
    このコマンドを実行すると、GPUに関する様々な情報が表示されます。CUDAバージョンは、通常、"Driver Version" や "CUDA Version" という項目で見つけることができます。

プログラミング言語のライブラリを利用する

  • Python (PyTorch以外):
  • CUDA_VERSION: 一部の環境では、CUDA_VERSION という環境変数が設定されている場合があります。この環境変数の値を確認することで、CUDAバージョンがわかります。

プログラミングでの活用例

  • 条件分岐:
    #include <cuda_runtime.h>
    #include <stdio.h>
    
    int main() {
        cudaDeviceProp prop;
        cudaGetDeviceProperties(&prop, 0);
    
        if (prop.major >= 11) {
            // CUDA 11.0以上の機能を使う
            printf("CUDA 11.0 or later\n");
        } else {
            // CUDA 11.0未満の機能を使う
            printf("CUDA less than 11.0\n");
        }
    }
    
  • エラー処理:
    import torch
    
    try:
        torch.cuda.empty_cache()  # CUDAメモリをクリア
    except RuntimeError:
        print("CUDA is not available")
    
  • ログ出力:
    # Bashスクリプト例
    cuda_version=$(nvcc --version | awk '{print $8}')
    echo "CUDA version: $cuda_version" >> log.txt
    

CUDA バージョンの確認方法は、コマンドライン、プログラミング、環境変数の確認など、様々な方法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、利用する状況に合わせて適切な方法を選択する必要があります。

選択のポイント:

  • 精度: 精度が高い確認方法が必要な場合は、nvcc --version や CUDAランタイム API を利用するのがおすすめです。
  • 手軽さ: 簡単な確認であれば、nvidia-smi を利用するのが便利です。
  • プログラミングとの連携: プログラム内で動的にCUDAバージョンを取得したい場合は、プログラミング言語のライブラリやCUDAランタイム API を利用します。
  • CUDAのバージョン情報は、GPUのドライババージョンやOSのバージョン、CUDA Toolkitのインストール方法など、様々な要因によって影響を受けることがあります。
  • CUDAバージョンを確認する際には、必ず、利用する環境に合わせた適切な方法を選択してください。
  • 利用しているプログラミング言語: Python, C++, C# など
  • 目的: CUDAバージョンを確認する目的(条件分岐、エラー処理、ログ出力など)
  • 環境: OS、GPUの種類、CUDA Toolkitのバージョン

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