C++におけるサブクラスでの置換におけるdelete演算子の選択を理解するのに役立つサンプルコード

2024-07-27

C++におけるサブクラスでの置換におけるdelete演算子の選択方法

  1. static型別: オブジェクトの静的型に基づいてdelete演算子が選択されます。これは、コンパイル時に決定されます。
  2. dynamic_cast: オブジェクトへのポインタまたは参照がdynamic_castを使用して派生型にキャストされている場合、その派生型のdelete演算子が呼ばれます。
  3. 仮想デストラクタ: オブジェクトが仮想デストラクタを持つ場合、その仮想デストラクタに対応するdelete演算子が呼ばれます。
  4. デフォルトのdelete: 上記のいずれにも該当しない場合は、デフォルトのグローバルdelete演算子が呼ばれます。

詳細説明

上記の規則をもう少し詳しく説明します。

静的型別

オブジェクトが作成されたときの型に基づいて、delete演算子が選択されます。例えば、以下のコードの場合、B型のオブジェクトであっても、A型のdelete演算子が呼ばれます。

class A {
public:
  virtual ~A() {}
};

class B : public A {
public:
  ~B() override {}
};

int main() {
  B* obj = new B;
  delete obj; // A::delete が呼ばれる
}

dynamic_cast

オブジェクトへのポインタまたは参照がdynamic_castを使用して派生型にキャストされている場合、その派生型のdelete演算子が呼ばれます。例えば、以下のコードの場合、B型のdelete演算子が呼ばれます。

class A {
public:
  virtual ~A() {}
};

class B : public A {
public:
  ~B() override {}
};

int main() {
  A* obj = new B;
  B* b = dynamic_cast<B*>(obj);
  delete b; // B::delete が呼ばれる
}

仮想デストラクタ

オブジェクトが仮想デストラクタを持つ場合、その仮想デストラクタに対応するdelete演算子が呼ばれます。これは、ランタイム時に決定されます。例えば、以下のコードの場合、B型の仮想デストラクタが呼び出され、それに対応するdelete演算子も呼ばれます。

class A {
public:
  virtual ~A() {}
};

class B : public A {
public:
  ~B() override {}
};

int main() {
  B* obj = new B;
  delete obj; // B::delete が呼ばれる
}

デフォルトのdelete

上記いずれにも該当しない場合は、デフォルトのグローバルdelete演算子が呼ばれます。これは、最も基本的なdelete演算子であり、メモリを解放するだけで、特別な処理は行いません。

留意点

  • サブクラスでdelete演算子をオーバーロードする場合は、必ずベースクラスのdelete演算子を呼び出すようにする必要があります。継承関係にあるオブジェクトを適切に削除するために重要です。
  • 仮想デストラクタとdelete演算子の組み合わせは、オブジェクトの削除方法を制御する強力なメカニズムを提供します。
  • 複雑な継承関係を持つ場合は、適切なdelete演算子が選択されていることを確認するために、コンパイラの警告メッセージに注意する必要があります。



#include <iostream>

class A {
public:
  virtual ~A() { std::cout << "A::deleteが呼ばれました" << std::endl; }
};

class B : public A {
public:
  ~B() override { std::cout << "B::deleteが呼ばれました" << std::endl; }
};

int main() {
  // 静的型別による選択
  A* obj1 = new A;
  delete obj1; // A::delete が呼ばれる

  // dynamic_cast による選択
  B* obj2 = new B;
  A* obj2_base = obj2;
  delete obj2_base; // B::delete が呼ばれる

  // 仮想デストラクタによる選択
  B* obj3 = new B;
  delete obj3; // B::delete が呼ばれる

  return 0;
}

このコードを実行すると、以下の出力が得られます。

A::deleteが呼ばれました
B::deleteが呼ばれました
B::deleteが呼ばれました

この出力は、前述の説明と一致しており、各オブジェクトがどのdelete演算子によって削除されるのかを示しています。

以下のコードは、より複雑な継承関係におけるdelete演算子の選択を示しています。

#include <iostream>

class Base {
public:
  virtual ~Base() { std::cout << "Base::deleteが呼ばれました" << std::endl; }
};

class Derived1 : public Base {
public:
  ~Derived1() override { std::cout << "Derived1::deleteが呼ばれました" << std::endl; }
};

class Derived2 : public Base {
public:
  ~Derived2() override { std::cout << "Derived2::deleteが呼ばれました" << std::endl; }
};

int main() {
  // 静的型別による選択
  Base* obj1 = new Derived1;
  delete obj1; // Derived1::delete が呼ばれる

  // dynamic_cast による選択
  Derived1* obj2 = new Derived2;
  Base* obj2_base = obj2;
  delete obj2_base; // Derived2::delete が呼ばれる

  return 0;
}
Derived1::deleteが呼ばれました
Derived2::deleteが呼ばれました



C++におけるdelete演算子の選択方法の代替説明

RTTIとは

RTTIは、プログラム実行時にオブジェクトの型を判別するための仕組みです。delete演算子の選択において、RTTIは以下のように使用されます。

  1. オブジェクトが削除されるとき、コンパイラはオブジェクトの型情報を調べます。
  2. 型情報に基づいて、適切なdelete演算子を選択します。
  3. 選択されたdelete演算子が呼び出され、オブジェクトのメモリが解放されます。

RTTIを使用する例

以下のコードは、RTTIを使用してdelete演算子を選択する方法を示しています。

#include <iostream>
#include <typeinfo>

class A {
public:
  virtual ~A() {}
};

class B : public A {
public:
  ~B() override {}
};

int main() {
  A* obj1 = new A;
  delete obj1; // A::delete が呼ばれる

  B* obj2 = new B;
  delete obj2; // B::delete が呼ばれる

  // RTTI を使用して型情報を取得
  A* obj3 = new B;
  if (typeid(*obj3) == typeid(B)) {
    delete static_cast<B*>(obj3); // B::delete が呼ばれる
  } else {
    delete obj3; // A::delete が呼ばれる
  }

  return 0;
}

このコードでは、typeid演算子を使用してオブジェクトの型情報を取得しています。この情報を使用して、static_cast演算子でオブジェクトを派生型にキャストし、適切なdelete演算子を呼び出すことができます。

RTTIの利点と欠点

RTTIには、次のような利点と欠点があります。

利点

  • オブジェクトの実際の型に基づいてdelete演算子を選択することができます。
  • ランタイムに動的な型の判定が可能になります。

欠点

  • 性能オーバーヘッドが発生する可能性があります。
  • 複雑なコードになる可能性があります。

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