C++ コードのプロファイリング (Linux) - 代替手法

2024-09-02

C++ コードのプロファイリング (Linux)

C++ コードを実行している Linux 上でどのようにプロファイルするのかについて、日本語で説明します。プロファイリングは、コードの性能を分析し、ボトルネックを特定する手法です。

プロファイリングツール

Linux 上では、さまざまなプロファイリングツールが利用できます。以下は、一般的なツールです。

  • perf: Linux カーネルに組み込まれたプロファイリングツール。イベントベースのプロファイリングが可能で、CPUサイクル、キャッシュミス、ページフォルトなどを測定できます。
  • gprof: GCC コンパイラに付属するプロファイリングツール。関数レベルでのプロファイルが可能で、実行時間、呼び出し回数などを測定できます。
  • Valgrind: メモリリークや未定義動作を検出するためのツールですが、プロファイリング機能も備えています。
  • Callgrind: Valgrind のプロファイリングツール。関数レベルでのプロファイルが可能で、実行時間、呼び出し回数、キャッシュミスなどを測定できます。
  1. コンパイル: プロファイリング情報を収集するために、コンパイラオプションを使用します。
    • perf: -g オプションを使用します。
  2. 実行: プロファイリング情報を収集するために、プログラムを実行します。
  3. プロファイルデータの生成: プロファイリングツールを使用して、プロファイルデータを生成します。
    • perf: perf record コマンドを使用します。
    • gprof: gprof コマンドを使用します。
    • Valgrind: valgrind --tool=callgrind コマンドを使用します。
  4. プロファイルデータの解析: プロファイルデータを解析して、ボトルネックを特定します。
    • Valgrind: kgrind ツールを使用します。

例 (perf)

# コンパイル
g++ -g main.cpp -o main

# プロファイルデータの収集
perf record ./main

# プロファイルデータの解析
perf report



perf を使用したプロファイリング

// main.cpp
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>

int main() {
    std::vector<int> numbers(1000000);
    std::generate(numbers.begin(), numbers.end(), []() { return rand(); });

    std::sort(numbers.begin(), numbers.end());

    return 0;
}
# コンパイル
g++ -g main.cpp -o main

# プロファイルデータの収集
perf record ./main

# プロファイルデータの解析
perf report

この例では、perf を使用して、std::sort 関数の性能を分析しています。

// main.cpp
#include <iostream>
#include <vector>
#include <algorithm>

int main() {
    // ... (同じコード)
}
# コンパイル
g++ -pg main.cpp -o main

# プロファイルデータの収集
./main

# プロファイルデータの解析
gprof main

この例では、gprof を使用して、関数の呼び出し回数や実行時間を分析しています。

Valgrind の Callgrind を使用したプロファイリング

// main.cpp
// ... (同じコード)
# コンパイル
g++ -g main.cpp -o main

# プロファイルデータの収集
valgrind --tool=callgrind ./main

# プロファイルデータの解析
kgrind callgrind.out.XX

この例では、Valgrind の Callgrind を使用して、関数の呼び出し回数や実行時間、キャッシュミスなどを分析しています。




組み込みプロファイリング機能

  • GCC の組み込みプロファイリング: -pg オプションを使用することで、関数レベルでのプロファイリングが可能です。
  • LLVM の組み込みプロファイリング: -fprofile-generate オプションを使用することで、プロファイル情報を収集し、-fprofile-use オプションを使用することで、最適化に利用できます。

外部ツール

  • FlameGraph: perf のデータを可視化するためのツールで、関数呼び出しのスタックトレースを視覚的に表示します。
  • Google Performance Tools: pprofgperftools を含むツールセットで、プロファイリングやメモリリーク検出などが可能です。
  • Intel VTune Amplifier: Intel のプロファイリングツールで、CPU、メモリ、GPUの性能を分析できます。

カスタムプロファイリング

  • 独自の計測コード: コード内に計測用のコードを挿入することで、特定の関数の実行時間やメモリ使用量を測定できます。
  • トレースツール: straceltrace を使用して、システムコールやライブラリ関数の呼び出しをトレースし、性能ボトルネックを特定できます。

考慮事項

  • プロファイリングオーバーヘッド: プロファイリングツールを使用すると、コードの実行時間が遅くなることがあります。
  • プロファイルデータの解釈: プロファイルデータを適切に解釈し、最適化を行うことが重要です。
  • 特定のユースケース: プロファイリングの目的やコードの特性に合わせて、最適な手法を選択してください。

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