C++プログラミング: ベクトルの要素を自在に操作 - std::transform, std::copy_if, forループの活用術

2024-07-27

C++ Vector: forループからstd::transformへの移行

C++において、ベクトルの要素を変換する操作を行う場合、従来はforループを用いることが一般的でした。しかし、C++11以降では、std::transformというアルゴリズムが導入され、より簡潔で効率的なコードを書くことが可能になりました。

本記事では、std::transformの仕組みと、forループからstd::transformへの移行方法について、分かりやすく解説します。

std::transformとは?

std::transformは、C++標準ライブラリに含まれるアルゴリズムの一つであり、以下の操作を行います。

  • 入力範囲の各要素に対して、指定された関数オブジェクトを適用する
  • 処理結果を、出力範囲に格納する

つまり、ベクトルの要素を順に処理し、その結果を別のベクトルに格納するような操作に適しています。

std::transformを使用する利点は、以下の通りです。

  • 簡潔なコード: forループと比較して、コードがより簡潔で読みやすくなる
  • 汎用性: 入力範囲と出力範囲が異なる場合でも、柔軟に対応できる
  • 効率性: 高度な最適化が施されており、forループよりも効率的に処理できる

forループからstd::transformへの移行方法

forループからstd::transformへの移行方法は、以下の手順で行います。

  1. 入力範囲と出力範囲を定義する
  2. 変換関数オブジェクトを定義する
  3. std::transformアルゴリズムを用いて、変換処理を実行する

例:ベクトルの要素を2乗する

以下のコードは、std::transformを用いて、ベクトルの要素を2乗します。

#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
  // 入力範囲
  std::vector<int> input_vec = {1, 2, 3, 4, 5};

  // 出力範囲
  std::vector<int> output_vec;

  // 変換関数オブジェクト
  auto square_lambda = [](int x) { return x * x; };

  // 変換処理
  std::transform(input_vec.begin(), input_vec.end(),
                 std::back_inserter(output_vec), square_lambda);

  // 結果の出力
  for (int i : output_vec) {
    std::cout << i << " ";
  }

  return 0;
}

このコードでは、まず入力範囲としてinput_vecを、出力範囲としてoutput_vecを定義します。次に、変換関数オブジェクトsquare_lambdaを定義します。この関数オブジェクトは、入力値を受け取り、その2乗を返すように実装されています。最後に、std::transformアルゴリズムを用いて、変換処理を実行します。

  • std::transformは、入力範囲と出力範囲が異なる場合にも使用できます。
  • std::transformは、ラムダ式を用いて簡潔に記述することができます。
  • std::transformは、並行処理にも対応しています。



#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
  std::vector<int> vec = {1, 2, 3, 4, 5};
  std::vector<int> result_vec;

  std::transform(vec.begin(), vec.end(), std::back_inserter(result_vec),
                 [](int x) { return x * 2; });

  for (int i : result_vec) {
    std::cout << i << " ";
  }

  return 0;
}

ベクトルの要素をすべて小文字に変換する

#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <string>
#include <vector>

int main() {
  std::vector<std::string> vec = {"ABC", "DEF", "GHI"};
  std::vector<std::string> result_vec;

  std::transform(vec.begin(), vec.end(), std::back_inserter(result_vec),
                 [](const std::string& s) { return std::tolower(s); });

  for (const std::string& s : result_vec) {
    std::cout << s << " ";
  }

  return 0;
}

2つのベクトルの要素同士を掛け合わせる

#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
  std::vector<int> vec1 = {1, 2, 3};
  std::vector<int> vec2 = {4, 5, 6};
  std::vector<int> result_vec;

  std::transform(vec1.begin(), vec1.end(), vec2.begin(),
                 std::back_inserter(result_vec), [](int x, int y) { return x * y; });

  for (int i : result_vec) {
    std::cout << i << " ";
  }

  return 0;
}

条件に応じて要素を出力する

#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
  std::vector<int> vec = {1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10};
  std::vector<int> result_vec;

  std::transform(vec.begin(), vec.end(), std::back_inserter(result_vec),
                 [](int x) { if (x % 2 == 0) return x; else return -1; });

  for (int i : result_vec) {
    if (i != -1) {
      std::cout << i << " ";
    }
  }

  return 0;
}

カスタム関数オブジェクトを用いる

#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <vector>

class MySquare {
public:
  int operator()(int x) const { return x * x; }
};

int main() {
  std::vector<int> vec = {1, 2, 3, 4, 5};
  std::vector<int> result_vec;

  MySquare square;
  std::transform(vec.begin(), vec.end(), std::back_inserter(result_vec), square);

  for (int i : result_vec) {
    std::cout << i << " ";
  }

  return 0;
}



C++ Vector: forループとstd::copy_ifを用いた代替方法

前述の記事では、std::transformを用いてベクトルの要素を変換する方法を紹介しました。しかし、状況によっては、std::copy_ifとforループを組み合わせる方法の方が適している場合があります。

本記事では、std::copy_ifとforループを用いた代替方法について、解説します。

std::copy_ifとは?

  • 入力範囲の各要素に対して、指定された条件を満たす要素のみを、出力範囲にコピーする

つまり、特定の条件に合致する要素のみを抽出するような操作に適しています。

std::copy_ifとforループを組み合わせる方法

std::copy_ifとforループを組み合わせる方法は、以下の手順で行います。

  1. std::copy_ifアルゴリズムを用いて、条件に合致する要素を抽出する
  2. forループを用いて、抽出された要素を処理する

例:偶数のみを出力する

以下のコードは、std::copy_ifとforループを用いて、ベクトル内の偶数のみを出力します。

#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
  std::vector<int> vec = {1, 2, 3, 4, 5};
  std::vector<int> result_vec;

  // 条件関数オブジェクト
  auto is_even = [](int x) { return x % 2 == 0; };

  // 条件に合致する要素を抽出
  std::copy_if(vec.begin(), vec.end(), std::back_inserter(result_vec), is_even);

  // 抽出された要素を処理
  for (int i : result_vec) {
    std::cout << i << " ";
  }

  return 0;
}

このコードでは、まず条件関数オブジェクトis_evenを定義します。この関数オブジェクトは、入力値を受け取り、それが偶数かどうかを判定します。次に、std::copy_ifアルゴリズムを用いて、is_evenがtrueを返す要素のみをresult_vecに抽出します。最後に、forループを用いて、抽出された要素を処理します。

forループとstd::remove_copy_ifを用いる方法

std::remove_copy_ifは、std::copy_ifと似ていますが、条件に合致する要素をコピーする代わりに、元のベクトルから削除します。

#include <algorithm>
#include <iostream>
#include <vector>

int main() {
  std::vector<int> vec = {1, 2, 3, 4, 5};
  std::vector<int> result_vec;

  // 条件関数オブジェクト
  auto is_odd = [](int x) { return x % 2 != 0; };

  // 奇数要素を削除
  auto new_end = std::remove_copy_if(vec.begin(), vec.end(), std::back_inserter(result_vec), is_odd);
  vec.erase(new_end, vec.end());

  // 偶数のみになったベクトルを処理
  for (int i : vec) {
    std::cout << i << " ";
  }

  return 0;
}

std::transformと比べて、std::copy_ifとforループを組み合わせる方法は、以下の利点があります。

  • シンプルさ: コードがよりシンプルで分かりやすい
  • 汎用性: 条件関数オブジェクトを用いることで、柔軟な条件設定が可能

一方、std::transformは、以下の利点があります。

状況に応じて、適切な方法を選択することが重要です。

  • std::copy_ifstd::remove_copy_ifは、入力範囲と出力範囲が異なる場合にも使用できます。
  • std::copy_ifstd::remove_copy_ifは、ラムダ式を用いて簡潔に記述することができます。

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