C++におけるラムダ式の解説

2024-09-09

ラムダ式とは?

C++11で導入されたラムダ式は、無名関数の一種です。つまり、名前のない関数として定義し、直ちに呼び出すことができる関数です。その構文は、次のように表現されます。

[capture list](parameters) -> return type { body }
  • capture list: ラムダ式が外部変数を参照できるかどうかを指定します。
  • parameters: ラムダ式のパラメータリストです。
  • return type: ラムダ式の戻り値の型です。
  • body: ラムダ式の本体です。

ラムダ式を使用する場面

ラムダ式は、以下のような場面で特に有効です。

  1. 関数オブジェクトの生成:

    • 匿名の関数オブジェクトを直接生成して、アルゴリズムや関数テンプレートに渡すことができます。
    std::vector<int> numbers = {1, 2, 3, 4, 5};
    std::sort(numbers.begin(), numbers.end(), [](int a, int b) { return a > b; });
    
  2. 遅延評価:

    • ラムダ式は、呼び出されるまで評価されません。これは、計算コストの高い操作を必要に応じて遅延させる場合に便利です。
    auto calculate_sum = [numbers]() {
        int sum = 0;
        for (int num : numbers) {
            sum += num;
        }
        return sum;
    };
    
    // 実際に計算が必要なときだけ呼び出す
    int result = calculate_sum();
    
  3. 関数ポインタの代替:

  4. 標準ライブラリのアルゴリズムとの連携:

ラムダ式の利点

  • 簡潔なコード: ラムダ式は、関数オブジェクトを定義する手間を省くことができます。
  • 柔軟性: ラムダ式は、さまざまな状況で使用することができ、コードの可読性を向上させることができます。
  • 性能: 適切に使用することで、パフォーマンスの向上を実現することができます。



[capture list](parameters) -> return type { body }



ラムダ式の代替方法

ラムダ式は、C++11で導入された便利な機能ですが、必ずしも使用しなければならないわけではありません。以下では、ラムダ式を使用しない場合の代替方法について解説します。

名前付き関数

最も直接的な代替方法は、名前付き関数を使用することです。ラムダ式と同じ機能を実現するために、関数定義を作成することができます。

// ラムダ式の代わりに名前付き関数を使用
bool compare(int a, int b) {
    return a > b;
}

std::vector<int> numbers = {1, 2, 3, 4, 5};
std::sort(numbers.begin(), numbers.end(), compare);

関数オブジェクト

ラムダ式と同様、関数オブジェクトを使用することもできます。関数オブジェクトは、演算子オーバーロードを使用して関数のように呼び出すことができるクラスです。

// 関数オブジェクト
class GreaterThan {
public:
    bool operator()(int a, int b) const {
        return a > b;
    }
};

std::vector<int> numbers = {1, 2, 3, 4, 5};
std::sort(numbers.begin(), numbers.end(), GreaterThan());

関数ポインタ

関数ポインタは、関数のアドレスを保持する変数です。関数ポインタを使用することで、関数への参照を関数オブジェクトの代わりに渡すことができます。

// 関数ポインタ
bool compare(int a, int b) {
    return a > b;
}

std::vector<int> numbers = {1, 2, 3, 4, 5};
std::sort(numbers.begin(), numbers.end(), compare);

std::function

C++11では、std::functionテンプレートクラスを使用して、関数やラムダ式、関数オブジェクトを汎用的に扱うことができます。

// std::function
std::function<bool(int, int)> compare = [](int a, int b) { return a > b; };

std::vector<int> numbers = {1, 2, 3, 4, 5};
std::sort(numbers.begin(), numbers.end(), compare);

これらの代替方法と比較して、ラムダ式を使用する利点は次のとおりです。

  • 簡潔性: ラムダ式は、名前付き関数を定義するよりも簡潔に記述できます。
  • 匿名性: ラムダ式は、名前がないため、一時的な関数として使用することができます。
  • キャプチャ: ラムダ式は、外部変数をキャプチャして使用することができます。
  • 自動型推論: ラムダ式の戻り値型は、自動的に推論されます。

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