x86 アーキテクチャと Rust-embedded ランタイム: ベアメタル環境でのスタック初期化

2024-07-27

ベアメタル Rust におけるスタック ポインタの準備方法

スタックとは何か?

スタックは、関数呼び出しやローカル変数の保存に使用されるメモリ領域です。関数を実行するたびに、スタックに新しいフレームが作成されます。このフレームには、関数の引数、ローカル変数、および呼び出し元のスタック ポインタが含まれます。

スタック ポインタとは何か?

スタック ポインタは、スタック内の現在アクティブなフレームを指すレジスタです。新しいフレームを作成すると、スタック ポインタは新しいフレームのアドレスを指すように更新されます。関数から返ると、スタック ポインタは前のフレームを指すように更新されます。

ベアメタル Rust でスタック ポインタを準備するには、以下の手順を実行する必要があります。

  1. スタック領域を割り当てる: スタック用のメモリ領域を割り当てる必要があります。この領域は、プログラムの実行に必要なだけの大きさである必要があります。
  2. スタック ポインタを初期化する: スタック ポインタレジスタを、スタック領域の末尾を指すように初期化する必要があります。
  3. 各関数のスタック フレームを管理する: 各関数に対して、スタック フレームを作成および破棄する必要があります。これには、スタック ポインタの更新と、ローカル変数のプッシュとポップが含まれます。

// スタック領域を 4096 バイト割り当てる
let stack_ptr: *mut u8 = unsafe { core::ptr::addr_of!(stack[0]) };

// スタック ポインタを初期化する
unsafe { asm!("mov rsp, {}", stack_ptr) };

fn main() {
    // 関数呼び出し
    function1();

    // 終了処理
}

fn function1() {
    // スタック フレームを作成する
    let x = 10;

    // ...

    // スタック フレームを破棄する
}

この例では、stack という名前のグローバル変数を使用して、4096 バイトのスタック領域を割り当てています。unsafe ブロック内で、asm! マクロを使用して、スタック ポインタレジスタを stack 配列の最初の要素を指すように設定しています。

main 関数は function1 を呼び出し、その後終了処理を実行します。

function1 関数は、x という名前のローカル変数を作成します。この変数はスタック フレームに保存されます。関数が完了すると、スタック フレームが破棄され、x 変数は解放されます。

これは、ベアメタル Rust でスタック ポインタを準備する方法の簡単な例です。実際のコードは、ターゲットとなるアーキテクチャと使用している Rust ランタイムによって異なる場合があります。

リソース




#![no_std]
#![no_main]

// スタック領域を 4096 バイト割り当てる
let stack: [u8; 4096] = [0; 4096];

fn main() {
    // スタックポインタを初期化する
    let stack_ptr = unsafe { core::ptr::addr_of!(stack[0]) };
    unsafe { asm!("mov rsp, {}", stack_ptr) };

    // スタックフレームを作成する
    let x = 10;
    println!("x = {}", x);

    // スタックフレームを破棄する
}

このコードは以下の処理を実行します。

  1. stack という名前のグローバル変数を使用して、4096 バイトのスタック領域を割り当てます。
  2. unsafe ブロック内で、asm! マクロを使用して、スタックポインタレジスタを stack 配列の最初の要素を指すように設定します。
  3. main 関数は、x という名前のローカル変数を作成します。この変数はスタックフレームに保存されます。
  4. println! マクロを使用して、x 変数の値をコンソールに出力します。
  5. 関数が完了すると、スタックフレームが破棄され、x 変数は解放されます。

実行方法

このコードを実行するには、以下の手順を実行する必要があります。

  1. Rust コンパイラと rust-std ランタイムをインストールします。
  2. 上記のコードを main.rs という名前のファイルに保存します。
  3. 以下のコマンドを実行して、コードをコンパイルおよび実行します。
rustc main.rs -o main -L dependencies/ -C target-feature=crt-static
./main

このコマンドは、main.rs ファイルを main という名前の実行可能ファイルにコンパイルします。-L dependencies/ オプションは、ランタイムライブラリの場所を指定します。-C target-feature=crt-static オプションは、静的ライブラリをリンクするようにコンパイラに指示します。

実行可能ファイルが生成されると、コンソールに x = 10 と出力されます。

注意事項




アセンブリ言語を使用する

アセンブリ言語を使用して、スタック ポインタを手動で設定できます。これは、低レベルの制御が必要な場合や、特定のアーキテクチャに固有の操作を実行する必要がある場合に役立ちます。

; スタック領域を 4096 バイト割り当てる
stack_mem: .data 4096 * .byte 0

; スタック ポインタを初期化する
mov rsp, stack_mem

; ...

; 関数呼び出し

; ...

; 終了処理

この例では、stack_mem という名前のラベルを使用して、4096 バイトのスタック領域を割り当てています。mov rsp, stack_mem 命令は、スタック ポインタレジスタを stack_mem ラベルのアドレスを指すように設定します。

カスタムランタイムを使用する

独自のランタイムを作成して、スタック管理を処理することもできます。これは、高度な制御が必要な場合や、特定のニーズに合わせたランタイムが必要な場合に役立ちます。

サードパーティ製のライブラリを使用する

スタック管理を処理するサードパーティ製のライブラリを使用することもできます。これにより、手動でスタック ポインタを設定する必要がなくなり、コードが簡潔になります。

選択方法

使用する方法は、特定のニーズと要件によって異なります。以下の点を考慮する必要があります。

  • 制御レベル: 低レベルの制御が必要な場合は、アセンブリ言語を使用する必要があります。
  • 移植性: 移植可能なコードが必要な場合は、カスタム ランタイムやサードパーティ製のライブラリを使用する必要があります。
  • 複雑性: コードをできるだけシンプルにする必要がある場合は、サードパーティ製のライブラリを使用する必要があります。

assembly rust x86



C、C++、Rustにおけるメモリの解放:なぜC++だけがうまくいくのか?

メモリ管理の仕組みC言語: malloc()とfree()を使って手動でメモリを管理します。開発者は、必要なメモリをmalloc()で確保し、不要になったメモリをfree()で解放する必要があります。C++: new演算子とdelete演算子を使って手動でメモリを管理します。new演算子はオブジェクトを生成し、delete演算子はオブジェクトを破棄します。C++では、デストラクタと呼ばれる特別な関数を用いて、オブジェクトが破棄される際に自動的に必要な処理を実行することができます。...


Rust std::iter::zip の内部可変性:サンプルコードによる解説

内部可変性とは、関数やデータ構造内部の状態が、外部から直接アクセスできない形で変更されることです。zip関数の場合、内部でイテレータの状態を保持しており、その状態がループごとに更新されます。zip関数の内部可変性により、以下の問題が発生する可能性があります。...


C++で要素ごとの加算を高速化する方法:別ループ vs. 複合ループのパフォーマンス比較

別々のループを使用する:一見すると、2つのループは同じ動作をしているように見えます。しかし、パフォーマンスに関しては大きな違いがあります。別々のループの方が、多くの場合、複合ループよりも高速です。その理由は、以下の2つの要因にあります。キャッシュ:...


パフォーマンスとメモリ使用量のバランスを最適化するPDEPとPEXT命令のエミュレーション

これらの命令は非常に高速ですが、古いCPUではサポートされていない場合があります。そのような場合、ソフトウェアを使用してPDEPとPEXTをエミュレートする必要があります。高速なソフトウェアフォールバックアルゴリズムPDEPとPEXTをソフトウェアでエミュレートする方法はいくつかありますが、最も高速な方法は、ループと条件分岐を使用する方法です。...



assembly rust x86

浮動小数点数の乗算における最適化:GCCはなぜa*a*a*a*a*aを(a*a*a)*(a*a*a)に最適化しないのか?

GCCコンパイラは、多くの場合、コードを高速化するために様々な最適化を実行します。しかし、a*a*a*a*a*a のような浮動小数点数の乗算式に対しては、(a*a*a)*(a*a*a) のように最適化しないことがあります。その理由は、浮動小数点数の演算における精度誤差の可能性です。


C++で32ビットループカウンタを64ビットに置き換えると、Intel CPUで_mm_popcnt_u64のパフォーマンスが異常になる問題

この現象は、Sandy Bridge、Ivy Bridge、Haswell世代のIntel CPUで顕著にみられます。具体的には、ループカウンタを unsigned int 型から std::uint64_t 型に変更すると、パフォーマンスが半分近くになるケースがあります。


C++、アセンブリ、および最適化における SIMD を使用したセパレータ位置より上のバイトをマスクする最も速い方法

セパレータ位置より上のバイトをマスクする必要がある状況は多数あります。 例えば、文字列処理において、文字列の長さを特定するためにnull文字を探す必要がある場合があります。 この場合、SIMD 命令を使用して、効率的にバイトをマスクし、処理速度を向上させることができます。


Rustにおけるイテレータ操作:`tap()` vs. `for`ループ、`map()`、`filter()`、`fold()`

関数型プログラミングの観点から見ると、tap()は純粋な関数ではないため、副作用を持つ関数とみなされます。しかし、tap()はイテレータを直接変更しないため、イテレータの不変性を保つことができます。tap()は以下の形式で使用します。以下は、tap()を使用してイテレータ内の各要素の平方根を出力する例です。


サンプルコード

Rustにおける配列は、スタックまたはヒープに割り当てられます。スタック割り当ては高速ですが、サイズが固定されています。一方、ヒープ割り当てはサイズを動的に変更できますが、オーバーヘッドが発生します。オプション型の配列の場合、要素が存在しない可能性があるため、メモリ割り当てが複雑になります。スタック割り当てを使用すると、要素が存在しない場合でも、常に固定量のメモリが割り当てられます。一方、ヒープ割り当てを使用すると、要素が存在しない場合はメモリを節約できますが、要素の追加や削除時にオーバーヘッドが発生します。